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執筆者プロフィール
- 日本電気株式会社セキュアシステムプラットフォーム研究所 主任 博士(工学) AFP認定者 2級ファイナンシャル・プランニング技能士
- 2025.09.25
- 生命保険
子育て世帯の生命保険料控除の拡大でどうなる?
先日、所長の塚原から2025年度の税制改正の所得税についてのコラムがありましたが、今回は保険が関係する部分で税制改正について触れたいと思います。子育て世帯に対する生命保険料控除の拡充に関する内容です。
まず、現行の生命保険料控除の最高控除額について見てみましょう。こちらは2012年1月1日以降の契約(新契約)についてです。
一般生命保険料控除:所得税4万円、住民税2.8万円
介護医療保険料控除:所得税4万円、住民税2.8万円
個人年金保険料控除:所得税4万円、住民税2.8万円
*2011年12月31日までの契約(旧契約)は、一般生命保険料控除、個人年金保険控除の最高控除額は所得税5万円、住民税3.5万円です。
そしてこちらが税制改正後における生命保険料控除の最高控除額です。
一般生命保険料控除:所得税6万円、住民税2.8万円
介護医療保険料控除:所得税4万円、住民税2.8万円
個人年金保険料控除:所得税4万円、住民税2.8万円
上記の記載のように、23歳未満の扶養家族がいる場合、一般生命保険料控除の最高控除額が4万円から6万円に引き上げられます。ただし、注意点があります。
・2026年分のみ適用です。
・一時払生命保険については本制度の控除の適用対象から除外されています。
・旧契約の生命保険料および新契約の生命保険料を支払った場合でも、一般生命保険料控除の最大控除額が4万円から6万円に引き上げられます。
・一般生命保険料、介護医療保険、個人年金保険料控除の合計適用限度額は現在と同じ12万円のままです(所得税の場合。住民税についても現在と同じ7万円のまま)。
以下にこの税制改正による生命保険料控除額の算出方法を示します。
① 年間生命保険料3万円以下:年間生命保険料の全額
② 年間生命保険料3万円超6万円以下:年間生命保険料×1/2 + 1.5万円
③ 年間生命保険料6万円超12万円以下:年間生命保険料×1/4 + 3万円
④ 年間生命保険料12万円超:一律6万円
では、実際の例を見てみましょう。いずれも23歳未満の扶養家族がいる場合を想定しています。
1.新契約の一般生命保険料の支払いがある場合
新契約の一般生命保険料を18万円支払った場合です。
① 新契約の一般生命保険料控除:(改正前)4万円(改正後)6万円
② 旧契約の一般生命保険料控除:(改正前)0円(改正後)0円
③ ①+②:(改正前)4万円(改正後)6万円
控除額(②および③のいずれか大きい金額):(改正前)4万円(改正後)6万円
2.新契約および旧契約の一般生命保険料の支払いがある場合
新契約の一般生命保険料を5万円、旧契約の一般生命保険料を3万円支払った場合です。
① 新契約の一般生命保険料控除:(改正前)3.25万円(改正後)4万円
② 旧契約の一般生命保険料控除:(改正前)2.75万円(改正後)2.75万円
③ ①+②:(改正前)4万円(改正後)6万円
控除額(②および③のいずれか大きい金額):(改正前)4万円(改正後)6万円
③でそれぞれ①+②にはなっていませんが、これは、改正前の控除限度額が4万円、改正後の控除限度額が6万円となっているためです。
今回の税制改正では、23歳未満の扶養家族がいる場合に一般生命保険控除の最大控除額が4万円から6万円に引き上げられましたが、金融庁からは2024年度税制改正に関して最大控除額を以下のように要望していました。(カッコ内は23歳の扶養家族がいる場合)
一般生命保険料控除:所得税4万円(6万円)、住民税2.8万円 (4.2万円)
介護医療保険料控除:所得税5万円、住民税3.5万円
個人年金保険料控除:所得税5万円、住民税3.5万円
なお、一般生命保険料、介護医療保険、個人年金保険料控除の合計適用限度額は14万円 (23歳の扶養家族がいる場合:16万円)を要望していました(住民税については現在と同じ7万円)。
今回は、2025年度の税制改正における子育て世帯に対する生命保険料控除の拡充に関する内容についてお話ししました。今回の税制改正は子育て世帯において2026年分のみ適用でしたが、金融庁の要望を見ると、今後さらなる税制改正が行われる可能性もあります。今後の動向に注目しながら、生命保険の見直しを検討してみてください。