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制定25周年!! アップデートすべき確定拠出年金の「旧常識」


本年2026年は、確定拠出年金法の制定および企業型確定拠出年金の施行から25年という節目の年です。確定拠出年金は税制上の優遇措置が手厚いがゆえに、加入対象や拠出限度額を抑制されてのスタートを余儀なくされた経緯がありますが、この四半世紀で加入者数1,286万人(2026年3月末時点)、資産残高31.0兆円(2025年3月末時点)の規模まで普及しました。単純計算すると日本人の10人に1人が企業型またはiDeCoに加入していることになり、もはや日本人にとっては欠かせない老後資産形成手段の一つとなっています。

確定拠出年金がこのような成長を遂げた要因は、施行後も定期的に制度の改正・改善が行われたことも背景にあります。筆者も数年前から私的年金の政策議論の場に列席するようになりましたが、こうした議論の中で出てくる意見・要望の中には、ひと昔・ふた昔前の「旧常識」に基づくものも少なくありません。今回は、そんな確定拠出年金にまつわる3つの「旧常識」について、一つ一つツッコミを入れていきます。

■旧常識その1:確定拠出年金の加入者は少数派!?
確定拠出年金は拠出限度額があるせいか、拠出限度額の無い確定給付企業年金に比べて加入者数が少ないという印象を持たれがちです。しかし、2026年3月末時点のデータでは、確定給付企業年金の加入者数が885万人であるのに対し、確定拠出年金の加入者数は企業型DCで893万人、iDeCoで393万人、合計で1,286万人となっています。現在は、企業型DC単独でみても確定給付企業年金の加入者数を上回っています。

一方、2025年3月末時点の年金資産残高で比較すると、確定給付企業年金は68.8兆円なのに対し、確定拠出年金は31.0兆円(企業型DC・23.8兆円、iDeCo:7.2兆円)となっており、資産残高の面では確定給付企業年金がなお存在感を放っています。これは、拠出限度額の有無が大きく影響しているものと推察されます。

■旧常識その2:確定拠出年金の拠出限度額は低い!?
制度創設時の被用者(国民年金の第2号被保険者:会社員・公務員等)の拠出限度額は、企業型DCで月額1.8~3.6万円、iDeCo(当時は「個人型DC」)で月額1.5万円でした。当時個人型DCに加入可能だった被用者は「企業年金の無い者」に限定されており、本来はこの層こそ自助努力への支援が必要にもかかわらず、「確定拠出年金は貯蓄か年金か」という政策論争の影響を受けて拠出限度額が低く抑えられていました。

その後、拠出限度額は数回にわたり徐々に引き上げられ、2026年12月以降は、被用者の拠出限度額の上限は月額6.2万円で統一され、この枠を企業型DC、iDeCoおよび他制度掛金相当額で共有することとなりました(他制度掛金相当額のみ上限なし)。月額6.2万円という水準の十分性は識者によって見解が分かれるところですが、この金額を毎月積み立てると、24年と3か月目でNISAの非課税保有限度枠1,800万円を元本部分だけで超える計算になります(1,800万円÷6.2万円÷12月≒24.19年)。さらに、昨今のNISAおよび確定拠出年金の改正により、「確定拠出年金には拠出限度額はあっても年金資産の保有総枠が無い」という新たな視点からのメリットが徐々に認識されつつあります。

■旧常識その3:確定拠出年金の運用は「元本確保型商品」に偏っている!?
確定拠出年金の資産運用の見直しに係る議論でたびたび出てくるのが、「確定拠出年金の加入者の商品選択は元本確保型に偏重している(から是正しなければならない)」という言説です。しかし、2025年3月末時点における元本確保型商品(預貯金および保険商品)の選択割合は、企業型DCで30.3%、iDeCoで23.1%にまで減少しています。5年前までは過半数が元本確保型商品を占めていた時代からすると、もはや隔世の感があります。

2026年4月から開催されている「確定拠出年金制度の運用改善等に関する有識者懇談会」では、関係団体ヒアリングの場で「指定運用方法の設定の義務化(元本確保型商品以外による)」や「資産運用アドバイスの解禁」等の要望が複数の団体から出されました。筆者は、これらの施策は、リスク性商品(投資信託など)の選択割合が10~20%程度の局面では一定程度効果を発揮するものの、現在のようにリスク性商品の選択割合が70%台の局面では、効果は限定的ではないかと考えます。

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以上の通り、確定拠出年金の世界は、近年の加入者増、株高、さらには相次ぐ法改正によって、制度を取り巻く状況が目まぐるしく変化しています。こうした状況下では、かつて蔓延していた「旧常識」に固執するのではなく、常に足元の現状を把握するアップデート能力が求められます。現状認識という土台を疎かにしたまま制度を改善するなど「どだい」無理な話なのです。

<加入者数データ出所>
・信託協会・生命保険協会・JA共済連「企業年金(確定給付型)の受託概況」令和8年3月末現在
・運営管理機関連絡協議会・信託協会・生命保険協会「確定拠出年金(企業型)の統計概況」令和8年3月末現在
・国民年金基金連合会「iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入等の概況」2026年3月

<資産残高データ出所>
・信託協会・生命保険協会・JA共済連「企業年金(確定給付型)の受託概況」令和7年3月末現在
・運営管理機関連絡協議会「確定拠出年金統計資料」2025年3月末

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