コラムColumn
執筆者プロフィール
- 日本電気株式会社セキュアシステムプラットフォーム研究所 主任
- 産業技術総合研究所 特定集中研究専門員
- 博士(工学)
- AFP認定者 2級ファイナンシャル・プランニング技能士
- 2026.07.16
- 税金
副業がある場合のふるさと納税に要注意
先日、筆者のコラムで副業について、所得金額が20万円以下の場合は確定申告は不要ですが、住民税の申告は必要と申し上げました。筆者は、住民税の申告について個人住民税の申告サービスが今年から開始されたeLTAXで行いました。
6月に入って申告にしたがって追加の住民税納税の連絡が来ましたが、同時にふるさと納税のワンストップ申請(申告特例制度)が無効となったと連絡が来ました。副業の所得金額が20万円を超えている場合は確定申告が必要なため、ワンストップ申請ができないことは把握していたのですが、住民税の申告をした場合もワンストップ申請ができないことは把握できていませんでした。最寄りの自治体に伺い確認したところ、ふるさと納税がある場合は副業の所得金額が20万円以下でも確定申告が必要とのことでした。
ここで、ワンストップ申請の場合でも確定申告の場合でもふるさと納税に関する税額控除の金額は同じですが、税額控除の方法が異なります。それぞれ例を挙げて説明しましょう。
例えば、所得税の税率が20%で税額控除前の住民税が30万円、ふるさと納税額5万円(自己負担額の2,000円を除いたふるさと納税額が全額税控除されるものとする)の場合を考えます。ここで計算を簡単にするため、復興特別所得税(原則としてその年分の基準所得税額の2.1%)については考慮に入れません。
<ワンストップ申請の場合>
ワンストップ申請の場合は、税額控除はすべて住民税から行われます。税額控除額は以下です。
(税額控除額)=(基本控除分)+(特例控除分)+(申告特例控除分)
(基本控除分)=(ふるさと納税額 ー 自己負担額)X 10%(市町村:6%、道府県:4%)*
= (50,000 – 2,000) X 10% = 4,800円
(特例控除分)=(ふるさと納税額 ー 自己負担額)X(100 ー 10 ー 所得税率)%
=(50,000 – 2,000) X (100 – 10 – 20)% = 33,600円
(申告特例控除分)=(ふるさと納税額 ー 自己負担額)X(所得税率)%
=(50,000 – 2,000)X 20% = 9,600円
(税額控除額)= 4,800 + 33,600 + 9,600 = 48,000円
*東京23区の場合は、区:6%、都:4%で、政令指定都市の場合は、市:8%、道府県:2%となります。
現在、神奈川県の政令指定都市である横浜市、川崎市、相模原市が中心に特別自治市の創設を目指していますが、もし特別自治市が誕生した場合には、住民税の徴収割合は変わることが想定されます。
<確定申告の場合>
確定申告の場合は、所得税、住民税それぞれで税額控除されます。
(税額控除額)= (所得税からの税額控除)+(住民税からの税額控除)
(所得税からの税額控除)=(ふるさと納税額 ー 自己負担額)X (所得税率)%
=(50,000 – 2,000) X 20% = 9,600円
(住民税からの税額控除)=(基本控除分)+(特例控除分)
= 4,800 + 33,600 = 38,400円
(税額控除額)= 9,600 + 38,400 = 48,000円
ここで、税額控除について所得税分については還付され、住民税分については支払額が変更されます。公金受取口座を登録しておけば、マイナンバーカードを用いてe-Taxで確定申告を行う際に還付金について公金受取口座を指定すれば、口座情報の入力は不要になります。実際、筆者は6月上旬にe-Taxで確定申告をして、3週間ほどで所得税分が還付されました。
以上、ふるさと納税をされていて、少しでも副業による所得がある方は確定申告をする方が一番効率が良いです。ただ、個人的には副業が20万円以下の所得金額だったら、ワンストップ申請が有効になるとありがたいと思っています。厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を発行しているように、国として副業・兼業への環境整備を行っているため、税金に関する申請がより楽になる方向に進むことを願っています。
今回の筆者のケースに当てはまる方はそれほど多くないかもしれませんが、今回のコラムがこのような事例に当てはまる方の参考になれば幸いです。