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執筆者プロフィール
- CFPファイナンシャル・プランナー
- 生活経済研究所長野 主任研究員
- 2026.07.02
- 投資
「これから伸びそう」で買ってはいけないテーマ型ファンド
■テーマ型ファンドの魅力は「わかりやすさ」
NISAで投資信託を選んでいると、「AI」「半導体」「インド」「宇宙開発」「脱炭素」など、将来性を感じさせるテーマ型ファンドが目に留まることがあります。テーマ型ファンドとは、特定のテーマやトレンドに関連する企業に投資する投資信託です。AI関連企業に投資するファンド、半導体関連企業に投資するファンド、インド企業に投資するファンドなど、さまざまな種類があります。
テーマ型ファンドの魅力は、何に投資しているのかをイメージしやすいことです。「AIは今後も広がりそう」「半導体は社会に欠かせない」「インドは人口が多く成長が期待できる」といったように、投資する理由を理解しやすく、投資に関心を持つきっかけにもなります。自分が関心を持っている分野に投資できるため、投資を続けるモチベーションにつながる場合もあります。
■テーマの成長と投資成果は別物
しかし、ここで注意したいのは、「そのテーマが伸びること」と「そのファンドで利益が出ること」は同じではない、という点です。
たとえば、AIや半導体が今後も成長する分野だとしても、多くの投資家が注目していれば、関連企業の株価には将来の成長期待が織り込まれている可能性があります。ニュースや広告で頻繁に見かけるようになったテーマは、すでに人気化していることも少なくありません。その段階で投資すると、テーマとしては有望でも、投資成果は思ったほど得られないことがあります。
■ブームは繰り返される
テーマ型ファンドは、過去にもさまざまなブームを繰り返してきました。ITバブル期にはインターネット関連、2000年代にはBRICsや中国株、資源・エネルギー関連、2010年代以降はGAFAに代表される米国大型テック企業、ESG・SDGs、ロボット、メタバース、そして現在はAIや半導体などが注目されています。もちろん、これらのテーマ自体に意味がないわけではありません。社会や経済の変化を反映した重要なテーマも多くあります。
■資金流入が安定しにくい
問題は、ブームがいつまでも続くとは限らないことです。テーマ型ファンドは、注目されている時期には資金が集まりやすい一方で、ブームが過ぎると投資家の関心が薄れ、資金流入が細りやすい傾向があります。資金流入が安定しないと、純資産総額が伸びにくくなります。解約が増えた場合には、運用会社が保有資産の売却を迫られることもあります。さらに、純資産総額が小さくなりすぎると、繰上償還によってファンドの運用が途中で終了する可能性もあります。
■値動きとコストにも注意
また、テーマ型ファンドは、特定の業種や国、銘柄に投資対象が偏りやすい点にも注意が必要です。幅広い国や業種に分散投資するファンドと比べると、値動きが大きくなることがあります。さらに、テーマ型ファンドは運用に専門的な調査や銘柄選定が必要になるため、一般的なインデックスファンドより信託報酬が高めになる傾向があります。NISAのように長期投資を前提とする場合、コストの差は長い期間で見ると運用成果に影響します。
■テーマ型ファンドは一部で活用
では、テーマ型ファンドは避けた方がよいのでしょうか。必ずしもそうではありません。テーマ型ファンドは、投資への関心を高めたり、自分が応援したい分野に投資したりするうえでは魅力のある商品です。ただし、長期の資産形成の中心に据えるには、値動きの大きさや流行の変化、コスト、資金流入の安定性を確認する必要があります。
NISAで資産形成を考える場合、まずは先進国株式と先進国債券を組み合わせるなど、値動きの異なる資産に分散して投資することが基本です。そのうえで、テーマ型ファンドを利用する場合は、資産全体の一部にとどめるのが現実的です。
■「伸びそう」だけで決めない
「これから伸びそう」と感じるテーマほど、投資したくなるものです。しかし、投資で大切なのは、テーマの将来性だけではありません。その期待がすでに価格に反映されていないか、そのファンドが長く安定して運用されそうか、自分の資産全体の中で取り過ぎたリスクになっていないかを確認することが大切です。
テーマ型ファンドは、上手に使えば投資を身近に感じるきっかけになります。一方で、流行だけで選ぶと、長期の資産形成には不向きな商品になってしまうこともあります。「これから伸びそう」という印象だけで決めず、分散・コスト・運用継続性を確認したうえで、冷静に判断しましょう。
