コラムColumn
執筆者プロフィール
- CFP ファイナンシャル・プランナー
- 生活経済研究所長野 事務局長
- 日本FP協会静岡支部 支部長
- 東海ブロック 副ブロック長
- 2026.06.18
- 住宅
ペアローンと連帯債務 どちらが正解?~ 選び方の大切なポイント ~
住宅を購入する際、夫婦で住宅ローンを利用するケースが増えています。その際によく質問されるのが、「ペアローンと連帯債務はどちらが良いのか?」というものです。
ペアローンとは
夫婦がそれぞれ別々に住宅ローンを契約する方法です。例えば、5,000万円の住宅を購入する場合、
・夫が2,500万円借りる
・妻が2,500万円借りる
というように、それぞれが住宅ローン契約を結び、それぞれがお互いの連帯保証人になります。結果として住宅ローン契約は2本になり、夫婦それぞれが主たる債務者です。
住宅ローン減税も夫婦それぞれが利用でき、団体信用生命保険(以下、団信)もそれぞれが自分の借りる住宅ローンに対して加入します。
連帯債務とは
一方、連帯債務は住宅ローン契約が1本です。例えば5,000万円を借りる場合、
・夫が主債務者
・妻が連帯債務者
という形で契約をするため、住宅ローン契約は1本となり、夫婦が平等に返済義務を負います。
かつて住宅金融支援機構の【フラット35】では連帯債務のみの取り扱いでしたが、現在ではペアローンも選択できるようになっています。また、民間金融機関ではこれまでペアローンが主流でしたが、近年は連帯債務を取り扱う金融機関も増えてきました。
住宅ローン減税に大きな違いはない
ペアローンが有利だと思われる理由の一つに住宅ローン減税があります。ペアローンでは夫婦それぞれが自分の借りた住宅ローンに対して住宅ローン減税を利用します。しかし、連帯債務でも土地や建物の持分に応じて夫婦で債務を按分するため、夫婦それぞれが住宅ローン減税を利用できます。
計算方法は異なりますが、住宅ローン減税を受けられるという点では大きな差はありません。
高額な借入ではペアローンが有利になる場合もある
ペアローンには借入可能額の面で有利になるケースがあります。例えば金融機関が1人あたり8,000万円までしか融資できない場合、
・連帯債務 8,000万円まで
・ペアローン 夫8,000万円+妻8,000万円=1億6,000万円
となり借入可能額を増やせるケースがありますが、一般的な住宅購入で5,000万円前後の借入であれば、連帯債務でもペアローンでも借りられる金額という点では優劣がありません。そもそも1億円を超える住宅ローンなど論外ですが…。
本当に重要なのは団体信用生命保険
団信とは住宅ローン利用者が死亡または高度障害状態になった場合に、保険金で住宅ローンが完済される制度です。ペアローンと連帯債務では団信が決定的に違います。
例えば一般的なペアローンの場合、夫が亡くなると夫の住宅ローンは完済されますが、妻の住宅ローンは全額残ります。逆に妻が亡くなった場合も同様です。つまり、亡くなった人の住宅ローンだけが完済されるのです。
一方で連帯債務は主債務者のみが団信に加入するため、主債務者が亡くなると住宅ローンの全額が完済されますが、連帯債務者が亡くなった場合、住宅ローンの全額が残ってしまいます。
夫婦連生団信という選択肢
近年増えているのが夫婦連生団信です。夫婦連生団信では、主債務者が亡くなった場合は通常の団信と同様ですが、連帯債務者が亡くなった場合でも住宅ローンの全額が完済されます。つまりどちらが亡くなっても住宅ローン全体がゼロになるのです。
子育て世帯などでは、残された家族の生活を守るという意味で非常に大きな安心材料になります。
共済や保険(死亡保障)で対応できる
ただし、夫婦連生団信が絶対に優れているものでもありません。例えば夫婦それぞれが十分な死亡保障に加入している場合、ペアローンで一方が亡くなった場合や、連帯債務で連帯債務者が亡くなった場合に、受け取った死亡保障で残った住宅ローンを返済(または完済)という対応も可能です。
また、夫婦連生団信には金利上乗せが必要なケースが一般的で、団信の上乗せ金利を支払うのか、共済や保険の死亡保障に加入し、掛け金を支払うのかは、性別や年齢によっても損得が発生するため、総合的に判断する必要があります。
まとめ
ペアローンと連帯債務のどちらが良いのかは世帯によって異なるため、住宅ローン減税や借りられる上限だけを見ていては判断を誤ります。
本当に重要なのは、夫婦のどちらかが亡くなった場合でも、貯蓄残高が底をつかずに住宅ローンが完済されるための仕組みづくりです。住宅ローンは住宅購入時ではなく購入後の家計に大きな影響を与えるため、「どちらがお得か」ではなく、「自分たち家族に合っているのはどちらか」という視点で検討してください。

