コラムColumn
執筆者プロフィール
- 日本電気株式会社セキュアシステムプラットフォーム研究所 主任
- 産業技術総合研究所 特定集中研究専門員
- 博士(工学)
- AFP認定者 2級ファイナンシャル・プランニング技能士
- 2026.05.21
- ライフプラン
食事の現物支給に関する所得税の非課税限度額の引き上げ
今年の4月1日に所得税に関する法改正があったことはご存知でしょうか?勤務先からの食事の現物支給に関して所得税の非課税限度額の引き上げが行われました。1984年(昭和59年)に非課税限度額は月額3,500円に改定されてから40年以上そのままでしたが、今年の4月に月額7,500円に引き上げられました。昨今の物価上昇において非課税限度額の引き上げは従業員にとってありがたいのではないでしょうか。この非課税限度額の引き上げは従業員だけではなく、企業にも恩恵があります。食事の現物支給については非課税限度額の範囲であれば全額福利厚生費として処理ができ、法人税の低減が期待できます。ただし、従業員が非課税の恩恵を受けるには条件がありますので、見ていきましょう。
従業員に支給する食事は次の2つの要件をいずれも満たしていれば、給与として課税されません。
要件1:従業員が食事の価額の半分以上を負担していること
要件2:次の金額が月額7,500円(消費税除く)以下であること
(食事の価額)-(従業員が負担している金額)
なお、食事の価額については、弁当などを購入して支給している場合には業者に支払う購入金額であり、社員食堂など企業が作った食事を支給している場合には食事の材料費や調味料など食事を作るために直接かかった費用の合計額となります。
ここで、食事を支給するのではなく、現金で食事代の補助をする場合は補助する全額が給与として課税されます。ただし、深夜勤務者に夜食の支給ができないために1食あたり650円(消費税除く)以下の金額を支給した場合は給与として課税されません。夜食の支給についてはもともと1食あたり300円以下でしたが、今年4月の改正で引き上げられました。
こちらで食事の支給の課税について例を示して説明します。
(例1)月額の食事の価額:10,000円、従業員が負担している金額:4,000円
従業員の食事の価額負担率が40%のため、要件1を満たしていません。したがって、食事の価額と従業員が負担している金額の差額である6,000円(10,000円 – 4,000円)が給与として課税されます。
(例2)月額の食事の価額:20,000円、従業員が負担している金額:12,000円
食事の価額と従業員が負担している金額の差額が8,000円(20,000円 – 12,000円)のため、要件2を満たしていません。したがって、差額の8,000円が給与として課税されます。
(例3)月額の食事の価額:16,000円、従業員が負担している金額:10,000円
従業員の価額負担率が62.5%であり、食事の価額と従業員が負担している金額の差額が6,000円(16,000円 – 10,000円)のため、要件1、要件2のいずれも満たしています。したがって、差額の6,000円は給与として課税されません。
食事の現物支給については、大企業であれば社員食堂や社内売店が挙げられますが、中小企業だと社員食堂や社内売店がないところもあります。そこで、社員食堂や社内売店以外の食事の現物支給として、従業員が企業が配布したカードや電子チケットをコンビニやレストランチェーンの支払いに使うサービスがあります。この場合、最大半額分を企業が負担することで、従業員は食事の費用を抑えながら、企業負担分について給与として課税されないことになります。このとき、企業負担額が月額7,500円を超えないように注意が必要です。
今回は勤務先における食事の現物支給に関する所得税の非課税限度額の引き上げについて取り上げました。この機会にご自身の勤務先で食事の現物支給について確認してみましょう。