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【フラット35】金利上昇の正体 長期金利の上昇より上がる理由


最近、住宅ローンの固定金利、とりわけ【フラット35】の金利上昇が注目されています。「長期金利が上がっているから仕方がない」と思われているかもしれませんが、現在の金利上昇はそれだけでは説明できません。

結論から言うと、いま起きているのは単なる金利上昇ではなく、「これまで歪んでいた状態が正常に戻る過程」ともいえます。そしてこの動きが、固定金利への借り換え判断を非常に難しくしています。

ここ数年は「抑えられていた」金利

住宅ローンの固定金利は、一般的に長期金利(10年国債利回り)に連動するとされています。しかし、ここ数年の動きを振り返ると、実は長期金利の上昇ほど【フラット35】の金利は上がっていませんでした。むしろ低水準に抑えられていたといえます。

本来であれば、長期金利が上昇すれば、それに応じて【フラット35】の金利も上昇するはずですが、その連動が弱かったのです。市場の動きだけでは説明できない水準が維持されていた背景には、政策的な判断の影響があったと見るのが妥当です。

直近で起きている“逆転現象”

ところが、直近数ヶ月に限って見ると状況は一変しています。今度は逆に、長期金利の上昇幅以上に【フラット35】の金利が上昇しています。ここ数年の「長期金利の上昇>【フラット35】の金利上昇」が、直近数ヶ月は「【フラット35】の金利上昇 > 長期金利の上昇」と逆転しています。

この変化を理解しないままでは、「なぜこんなに急に上がったのか」が見えてきません。

金利の背景にある「資金調達コスト」

ここで押さえておきたいのが、【フラット35】の仕組みです。【フラット35】は、住宅金融支援機構が市場で発行する「機構債」によって資金を調達し、その調達コストをもとに金利が決まります。本来は、この調達コストに一定の上乗せをした水準が貸出金利になります。つまり、資金調達のコストと貸出金利のバランスが取れていることが前提です。

しかし、ここ数年このバランスは市場の動きと乖離した状態が続いていました。【フラット35】を提供する住宅金融支援機構は全額政府出資の機関であり、その金利は純粋な市場原理だけで決まるものではなく、政策や制度の影響を受けやすい側面があります。そうした背景から、物価や住宅価格が上昇する環境のもとで住宅ローン金利は相対的に低く抑えられており、調達コストに対する上乗せが薄く、住宅金融支援機構は利ざや(※1)が確保しにくい状態が続いたのです。

いまは正常化が進行中

現在の金利上昇は、この歪みを修正する動きです。2025年の年末あたりから、この動きは顕著になり、それまで2%を超えないよう調整されていたと考えられる【フラット35】の金利は2026年1月に、これまでほぼ横ばいだった金利を前月より0.11ポイント引き上げ2.08%と、ついに2%の壁を破ったのです。

そこからは長期金利の上昇にほぼ連動する機構債の利回りよりも、【フラット35】の金利は大きく上昇しています。住宅金融支援機構は調達コストが上がる中で貸出金利だけを低く据え置く状況を続けられなくなり、【フラット35】の金利を本来の水準へ引き上げていると見て差し支えありません。

現在は長期金利の上昇と抑制されていた金利の修正、この2つが同時に進む局面であり、想定以上に【フラット35】の金利が上がっています。

借り換えは時間との勝負

この局面が示す内容は明確です。変動金利から固定金利への借り換えを検討している場合、様子見という選択そのものが不利に変わる可能性があります。今後の金利は、長期金利の動向とこれまで抑制されていた金利修正の進行、この2つの要因で上昇圧力が続きます。特に後者は市場金利とは別の軸で進むため、長期金利が落ち着いても安心できません。

固定金利への借り換え判断を先送りすると、選択できる条件そのものが悪化します。

労働者にとっての判断軸

住宅ローンは生活設計の中核であり、賃金や物価の見通しが読みにくい環境では、固定金利による将来の返済額を確定できるメリットは依然として大きいといえます。

また、固定金利は常に同じ条件で選べる商品ではありません。現在は条件が短期間で変化しており、重要なのは将来予測ではなく、金利を確定できるメリットをどう評価するか、この一点に尽きます。いまは固定金利に借り換えるのであれば、ゆっくりと迷っている局面ではありません。

※1 住宅支援機構は機構債と【フラット35】の金利差から窓口になる金融機関への手数料等を支払うため、その差額が純粋な利益とはならない

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