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執筆者プロフィール
- 日本電気株式会社セキュアシステムプラットフォーム研究所 主任 博士(工学) AFP認定者 2級ファイナンシャル・プランニング技能士
- 2025.07.10
- ライフプラン
1日単位の自動車保険を活用してみよう
自家用車をお持ちの方は、自賠責保険 は当然のこと、任意の自動車保険や共済に加入している方が多いでしょう。では、知人の車を一時的に借りる場合はどのように対応すればよいのでしょうか。
自動車保険に契約している人であれば、他人から借りた車で事故が起きた場合でも補償される他車運転特約がありますが、前提として自動車保険に加入している必要があります。しかし、自身の契約している自動車保険がない場合は、1日単位で契約できる自動車保険が選択肢にあげられます。
●各社3つのプランが用意されている
1日単位の自動車保険は複数の損害保険会社が提供しています 。損保各社で複数のプランを提供していますが、今回は多様にプランを用意している損保ジャパンの1日自動車保険「乗るピタ!」を例に解説します。各プランの保険料は次の通りです 。
(1) ライトプラン:12時間650円/24時間800円
(2) 基本プラン:12時間2,150円/24時間2,700円
(3) 安心プラン:12時間2,800円/24時間3,500円
●どのプランを選んだらよいか
(1)ライトプランは車両補償がついていない割安なプランです。また、対物賠償の自己負担額はありませんが、他社の割安なプランの場合、対物賠償について自己負担額が設定されるケースがあります 。
(2)基本プランと(3)安心プランには車両補償が付帯されているため、(1)ライトプランと比較して保険料が高くなります。ただし、車両補償を付けない場合には事故による運転車両の修理費用が自己負担になってしまうリスクがあります。自分の車であれば「修理しない」という選択もできますが、知人から借りた車は「修理しない」わけにはいかないことが多いでしょう。
潤沢な貯蓄のある方であればまだしも、まだ運転免許を取り立てで、修理費用を支払えるだけのお金がない人は、保険料が高くても車両補償が付帯されている(2)基本プランまたは(3)安心プランになさることを強くお勧めします。また、(1)ライトプランと同様、他社の保険でも一番安いプランは車両補償が付いておらず、お勧めできません。事故による運転車両の修理費用が自己負担になるため、その負担を下げようとする力が働き、過失の割合で少しでも有利になるように示談交渉が長期化し、原状回復までに時間を要するおそれがあるためです。
(3)安心プランは、唯一人身傷害保険(保険金額:3,000万円)が付帯される限られたプランです 。これは対人賠償、対物賠償、人身傷害保険、車両補償の4項目がすべて付帯されているので、事故の際に過失の割合にかかわらず、そもそもの自己負担が生じなくなるため、示談交渉が揉める可能性が低くなります。したがって、自身が原因で交渉が長引かせず、すぐに原状復帰に専念したい方(すなわち、読者のほとんど)には(3)安心プランを強くお勧めします。なお、車両補償を付帯する場合は、契約が有効になるのは申込日を1日目として8日目以降なので、利用日よりも早めの契約が必要です。
また、それぞれのプランに付帯できる特約も損害保険各社でそれぞれ用意されています。例えば、損保ジャパンの場合、複数人で車を運転する場合の臨時被保険者に関する特約があります。この特約を付帯すると、交替で自家用車を運転するケースに対応できます。
●申し込み窓口と決済方法
申し込みについても損害保険各社で異なりますが、損保ジャパンではインターネットで申し込めます。ただし、支払いには本人名義のクレジットカードが必要です。他の損害保険会社ではスマートフォンやコンビニエンスストアで申込が可能です。それ以外にも、ドコモスマート保険ナビやPayPayほけんが代理店として1日単位の自動車保険を販売しており、それぞれd払い、PayPay払いが可能です。
●さいごに
任意自動車保険の被保険者以外の方が自家用車を運転することがある場合や知人等の自動車を借りることがある場合は、対人賠償、対物賠償、人身傷害保険、車両補償の4項目がすべて付帯されているプランを大前提に選ぶようにしましょう。かなり選択肢が狭まるはずですし、一番安いプランにはなりえないはず。その上で、皆さんそれぞれにあう支払方法などから最終選択されるといいでしょう。