コラムColumn
執筆者プロフィール
- CFP ファイナンシャル・プランナー
- 1級ファイナンシャル・プランニング技能士
- TLC(トータルライフコンサルタント)副称号:生命保険協会認定FP
- 損害保険上級資格
- DCプランナー2級
- キャリアコンサルタント
- 2025.06.19
- ライフプラン
「サードライフ」への備えを考える
退職後健康的に自立して生活できる期間(働くことができる期間)を「セカンドライフ」、その先にある何らかの形での支援や介助が必要な要介護生活を「サードライフ」といいます。人生100年時代と言われている今、退職後の生活は現役時代と同じくらいの期間になる可能性があります。老後の生活を考える時、健康で元気で働けるのが一番ですが、その先の「サードライフ」も視野に入れて資金の準備、保障の準備を考える必要があります。
昨年12月24日に厚生労働省が発表した「健康寿命の令和4年値」によると、
<男性>
平均寿命81.05歳、健康寿命72.57歳(8.49年)
<女性>
平均寿命87.09歳、健康寿命75.45歳(11.63年)
平均寿命の男女差は約6歳、健康寿命の男女差は約3歳、女性の方が何らかの介護を受ける期間の平均が長いことがわかります。
介護が必要となった主な原因としては、
1位 認知症 16.6%
2位 脳血管疾患(脳卒中) 16.1%
3位 骨折・転倒 13.9%
4位 高齢による衰弱 13.2%
5位 関節疾患 10.2%
6位 心疾患(心臓病) 5.1%
7位 パーキンソン病 3.5%
8位 糖尿病 2.9%
9位 悪性新生物(がん) 2.7%
10位 脊椎損傷 2.2%
注:要支援も含む
出典:厚生労働省「国民生活基礎調査」/2022年、生命保険文化センター
このデータより様々な病気やケガがあるものの、約23.9%が三大疾病が原因で介護状態になっていることがわかります。
介護資金の準備はどうするかについて考えてみましょう。
<介護に必要な資金>
➀住宅改築や介護用ベッドの購入などの一時費用
②介護用品購入費用やサービス利用費の自己負担分などの月々の費用×介護期間
➀+②と考えられています。
生命保険文化センターによると、平均値で介護費用を計算した場合、
一時費用約74万+(月々約8.3万×介護期間61.6月)=約580万円
必要とされています。
平均介護期間は5年1カ月ですが、個人差がありますから、もし介護期間が10年間に及んだ場合は約1,070万円の費用がかかってしまいます。また介護は受ける側だけの問題ではありません。介護する側の負担についても考える必要があります。
<考えられる対策>
➀生命保険会社や共済などで介護の保障を準備する
掛け捨ての介護保険は共済や損害保険会社などが扱っています。更新タイプではありますが、保険料が安いのが魅力です。
生命保険会社では介護保障付や三大疾病保障付の変額養老保険、介護保障付終身保険などが活用されています。掛け捨てではないので変額タイプなら運用成果も期待できますし、介護や三大疾病での保険金給付がなければ死亡保険金となります。最近の変額保険は払込の途中で様々な変更が可能である為、随分と使い勝手がよくなっており、商品によっては三大疾病払込免除特約をつけて契約すると、免除に該当した場合は保険料の支払いは不要になるだけでなく、本来の払込満了まで保険会社が保険料を支払ってくれます。免除特約の保険料が上乗せされている為、その特約のない変額保険より運用効率は悪いです。
②新NISAを活用する
若いころから積立枠で長期的に運用することで、老後の資金や介護資金の準備ができるでしょう。保険機能がない分、上記保険より運用益は期待できます。
退職金で運用する場合は注意が必要です。運用期間が短いのでリスクを回避するために、銘柄や運用先を分散して活用することが大事です。
➂元本保証型商品での積み立てや運用
変額保険や新NISAはある程度リスクが伴います。リスクを取りたくない方は、銀行や郵便局の積み立てや貯蓄預金がいいでしょう。
現役時代の「ファーストライフ」の方々は、今の生活を優先順位の1番に考えた運用や保険の準備を、介護費用は「セカンドライフ」に突入する前50代に入ったら対策を始め、同時に介護を受ける側だけではなく介護をする側の負担も考えなくてはなりません。その為には日頃から両親や家族とのコミュニケーションが大切です。そして何より健康寿命を延ばすための健康管理や体力作りも心がけましょう。