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NISA口座で投資信託が繰上償還されたらどうなる?


2024年からNISA(少額投資非課税制度)は恒久化され、非課税で投資できる枠も大幅にアップしました。2024年6月末時点の商品別の買付額をみると、つみたて投資枠では99.5%(約2兆2066億円)を投資信託が占めていますし、成長投資枠でも49.5%(約3兆9218億円)と半分を占めています(金融庁「NISA口座の利用状況調査(令和6年6月末時点)」)。
 このようにNISA口座で投資信託を活用して資産形成や資産活用に取り組む人は多いのですが、注意したいのは購入した投資信託が繰上償還となるケースです。

◆繰上償還とは?
 繰上償還とは、あらかじめ決まっていた信託期間が終了する前に、投資信託の運用が終了することをいいます。購入した投信が仮に繰上償還されると、そのまま運用を続けることができず、現金化されてしまいます。繰上償還の多くは、残高が少なくなり、運用が困難になったことなどが要因です。

これまで、つみたてNISA対象商品や2024年からの新NISA「つみたて投資枠」で繰上償還になった投信はありませんが、一般NISAで取り扱いのあった投信の繰上償還や、ETF(上場投信)が上場廃止になった事例はあります。
また、2024年10月には投信を設定・運用するPayPayアセットマネジメントが2025年9月末を目途に事業を終了することを発表しました。同社が運用する商品には、NISAの「つみたて投資枠」や「成長投資枠」の対象商品も含まれます。つみたて投資枠の対象商品(5本)については他の運用会社が引き継ぎますが、成長投資枠の対象商品のうち4本は繰上償還される予定です。

◆繰上償還されたらどうなる?
投信の繰上償還は売却とみなされ、自分で投資信託を解約したときと同じ扱いになります。つまり、NISAの非課税枠を消費することになります。2024年からは投資信託を解約したり、上場株式を売却したりした場合には非課税投資枠(売った時の時価ではなく取得価格)が翌年以降復活し、再利用できるようになりました。ただ、復活するといっても、翌年利用できるのは年間投資枠360万円の範囲内。その分上乗せして投資できるわけではありません(1,800万円に達するまではそれほど関係ない)。

繰上償還時に利益が出ていてもNISA口座では課税されませんが、損もなかったとみなされます。損をしている時に繰上償還されたらデメリットしかありませんし、もそもそも長期で運用しようと思っていたのに、自分の意志とは関係なく現金化されてしまうのは資産形成にとってはマイナスです。

◆目論見書や月次レポートなどを確認
では、どんなときに繰上償還されるのでしょうか。その条件は商品により異なります。交付目論見書で「信託期間」と「繰上償還」の項目を確認しましょう。交付目論見書の後半にある「手続き・手数料等」の中のお申込メモの欄に記載されています。どういう状態になったら繰上償還されてしまうのかという条件をチェックしましょう。

繰上償還の項目をみると、どういう状態になったら繰上償還されるのかが記載されています。例えば、投資信託の規模が一定の水準を下回り、運用会社が効率的な運用はできないと判断した場合などには、あらかじめ設定されている運用期間であっても、繰り上げて償還する可能性がありますよ、といったことが記載されています。受益権口数や純資産総額の小さい投資信託は、繰上償還する可能性があるので注意が必要です。

そのため、投資信託の「純資産総額が安定的に増えているか」「資金が安定的に流入しているか」などを併せてチェックしたいところ。投信を運用する運用会社(委託会社)のサイトに掲載されている月次レポートや、ネット証券などの販売会社のサイト、投信の情報を提供する会社のサイト(ウエルスアドバイザーなど)などで確認することができます。

NISAのつみたて投資枠の対象商品は300本を超えてきました。成長投資枠にいたっては2,000本以上あります。つみたて投資枠の対象商品はインデックスファンドが大部分を占めますが、コストだけでなく、運用する会社や純資産総額の推移などもしっかり確認することが大切です。

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