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「教育費は自立費用」


教育費の話になると、大学費用を想像する人がほとんどだと思いますが、1人で自立できる「自立費用」と考えてみると、そのために大学への進学が必要ならば、大学費用の準備となりますし、一流のシェフになりたければ、お給料は見込めなくても一流になるために腕を磨く修行期間の生活を支えるお金も教育費となるかもしれません。
そして、大学費用も仮に総額400万円かかるとしたら、(1)入学時に一般的な払い方として親が準備する(2)奨学金を活用し卒業したら親が出してあげる(3)奨学金を活用し返済する体験もさせながら結婚するとき清算してあげるなど、様々な準備の仕方があります。
すべて同額の400万円だとしたら、お子さんにとってどれが経験となり自立できる費用になるでしょうか。勉強ではなく、自立について意識して、お子さんをどのように育ててきたか、対話を重ねてきたかでどんな手段が有効なのか、より良い方法というのは何なのか、人それぞれ変わってきます。

先日24歳の男性(お客様のお子さん)から「相談があります」というLINEが来ました。高校卒業後に働き始めた彼ですが、就職に際しご両親からの依頼で相談を受けたことがあります。
相談は、『いつか迷いの時期が来た時にお金で判断しないような資産形成をさせたい』という内容で、社会保険や車のローン、ガソリン等の予算を鑑み、入社時に、財形貯蓄、確定拠出年金、持ち株会の他に、3万円の積み立て投資を勧めました。
月々の収支については余裕がありませんが、ボーナスは使途を決めずに自由に使う。「月々の収支が厳しかったら積み立て投資を減らせばいいから」と、お小遣い予算も確保し、ローンも含めた5年後の目標バランスシートを作成しました。
本人は、よくわからないながらも素直に実行してくれました。正確にお伝えすると、始め方は教えましたが、止め方は教えなかったので、誰かに聞いてまで止める、という選択ができなかったのかもしれません。
この間6年、都合の合う時に会って定点観測をしていましたが、この春「6年経ったから全資産を洗い出してみよう」と、現状のバランスシートを作成しました。

資産の部は、800万円を超えていました。その内訳は
・預貯金:250万円
・積み立て投資(毎月3万円):216万円→380万円。
・持ち株会:約30万円
・確定拠出年金:150万円

まとめてみると、想定以上だったようでその時はとても嬉しそうでした。
それから半年近く経ってからの相談は、「今の仕事を辞めて、理学療法士になるための専門学校に行きたい」と、いうことでした。
野球をやっていた彼は、けが等で理学療法士のお世話になる場面が多く、つい最近もその機会があったとか。「働きだしてしまった後に、学生になれるなんて夢にも思っていなかったけれど、春にバランスシートを作成したことで全資産が見える化できたら、自分の資産から学費を払っても理学療法士になりたいという気持ちが湧いてきたのでチャレンジしてみたい。」のだそうです。

もちろん大賛成です。
念のため、現在勤めている大企業と違って、「理学療法士になると今のような福利厚生やお給料は望めないかもしれないよ。今のポジションを降りることに後悔はない?」と尋ねたら、「全くない」とのこと。
今後良いことばかりではないでしょうが、意思は固く頼もしかったです。
学生になれば収入はなくなりますが、学費は自分で払うつもりだと聞き、こんな時こそ奨学金だと、なるべく投資を続けながら、資産の部を減らさない手段として奨学金の利用を勧めました。

同時にご両親にも、教育費の援助についてこっそり提案。
卒業して、理学療法士になれた時には、お祝いとして学費の一部を援助してあげて奨学金の負担を軽くしてあげてはどうかと。
快く賛成いただきました。もちろん卒業するまでご両親の心づもりは本人には内緒で。

その気になればいつからでも学ぶことができる。その発想や決断に資産形成がお役に立てたことが嬉しかった出来事でした。

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