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リバースモーゲージ型住宅ローンの利用者が急増中!?


ここ2、3年、住宅金融支援機構の【リ・バース60】を利用した「リバースモーゲージ型住宅ローン」の利用者が急増しています。

【リ・バース60】は、利用希望者から申し込みを受け付けた金融機関等が、住宅金融支援機構に対して住宅融資保険を付けるように申請する仕組みになっています。

その申請戸数が、

2016年度 …  39戸

2017年度 … 174戸

2018年度 … 511戸

2019年度 … 980戸

というように、着実に増加しているのです。

 

【リ・バース60】という商品は、取扱金融機関等が、住宅金融支援機構の住宅融資保険を付けて融資をする死亡時一括返済型の住宅ローンです。60歳以上の利用者が住宅を担保にお金を借り、毎月の返済は利息部分だけで、元金部分の返済は、利用者が死亡したときに相続人が一括返済をするか、担保に入れた住宅を売却して返済する仕組みになっています。

もともとは2009年度から取り扱われていましたが、当初は「リフォーム」のみが融資対象でした。その後、2011年度から「サービス付き高齢者向け住宅への入居時一時金」が融資対象に加わりました。そして、2015年度から「住宅の建設や購入」が融資対象に加わり、「ローンの借り換え」も融資対象になりました。さらに、2016年度には「子世帯が住む住宅の建築や購入」も対象になり、2017年度には「ノンリコース型」も導入されました。

 

「リコース」と「ノンリコース」の違いは、遡及するかしないかという点です。リコース型は遡及します。利用者が亡くなって担保物件を売却した際に、その売却代金ではローンを完済できなかった場合、不足分を相続人が負担しなければならないのです。

一方、ノンリコース型は遡及しません。担保物件の売却代金でローンを完済できなかったとしても、不足分を相続人が負担しなくてよいのです。ただし、その分、リコース型よりもノンリコース型のほうが借入金利は高くなっているのが通常です。

利用者としては、相続人である子どもたちにローンを残す心配がなくなりますので、多少利息負担が重くなっても安心感は大きいでしょう。ここ2、3年で【リ・バース60】の利用者が急増しているのは、ノンリコース型が導入されたという理由が最も大きいのではないかと思われます。

ちなみに、2019年度末(2020年3月末)現在の【リ・バース60】の取扱金融機関等は、65機関(前年度比+13機関)となっています。取扱金融機関等も着実に増加していますので、今後さらに利用者は増えていくのではないかと思われます。

 

「リバースモーゲージ型住宅ローン」という一般的な呼び名はついていますが、従来の「リバースモーゲージ」と比べると、一般の人にとっての利便性は高いといえそうです。

リバースモーゲージ(Reverse mortgage)は、直訳すると「逆抵当権」といえるもので、自宅を担保にお金を借り、自分が亡くなったときに自宅を売却して返済する仕組みとなっているのが通常です。取扱金融機関等によって条件や仕組みが異なりますが、一般的に、立地条件や担保物件の評価額などの制限もあり、誰もが利用できる仕組みにはなっていません。

一方、【リ・バース60】のようなリバースモーゲージ型住宅ローンは、近年の融資対象の拡大もあり、さまざまな資金ニーズに対応できるようになってきています。返済中は、借り入れた元金部分(=ローン残高)が全く減らないので、ただただ利息を支払い続けることになりますが、担保に入れた物件を相続人に残す必要がないのであれば、大きな問題はないでしょう。

 

実際に、2019年度の【リ・バース60】の申込者の利用実態を見てみると、平均年齢は70歳、平均年収は338万円。申込者の63.4%が年金受給者で、会社員は16.3%でした。

資金使途は、戸建て新築が最も多く33.6%、次いでリフォームが24.8%、新築マンション購入が21.0%で、借り換えは14.9%でした。

年金生活者にとっては、手元の資金の大半を使ってしまうのは不安。【リ・バース60】を使えば、ある程度の資金を手元に残しつつ、毎月の負担は利息部分だけなので軽い。これらのことをメリットに感じて利用者が増えているのでしょう。

 

ただし、【リ・バース60】が必ずしも有利かどうかは一概には言えません。人それぞれの状況によって有利不利は変わってきます。「終の棲家」については、単に、住み替えをするのかしないのかだけでなく、賃貸か購入か、そして、リバースモーゲージ、リースバック(=自宅を売却し賃貸として借りる)、【リ・バース60】など、さまざまな選択肢がありますので、それぞれのメリット・デメリットを冷静に比較して検討することが重要でしょう。

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