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値上げが続く火災保険(2022年10月改定)


近年、値上げ続きの火災保険・地震保険が、2022年10月から多くの地域で値上げされます。その背景や具体的な値上げ幅をみてみましょう。

1.火災保険参考純率は全国平均で10.9%アップ。長期契約は最長5年へ
2021年5月21日、損害保険料算出機構は火災保険(住宅総合保険)の参考純率の変更を金融庁に届出をしました。これを受け損害保険各社は、2022年10月1日以降の始期となる契約から保険料の改定を行います。

●改定の背景
背景にあるのは(1)自然災害リスクの増加、(2)リスク傾向の反映です。(1)自然災害リスクの増加については説明不要でしょう。特に、近年の台風、豪雨などの風水災リスクの高まりは顕著です。これらのリスクは今後さらに高まると見込まれていますが、長期的なリスク評価を正確に行うのは難しいため、参考純率の適用期間も、現在の最長10年から最長5年へと変更されます。

●改定率
肝心の改定率ですが、最大は沖縄県の+36.6%(H構造、築10年以上)、最小は山口県の▲13.8%(H構造、築5年未満)です。三大都市圏(東京都・大阪府・愛知県)の築5年未満の建物は、東京都と愛知県のT構造を除きすべてのエリア、構造が上昇、三大都市圏(東京都・大阪府・愛知県)の築10年以上の建物は、すべてのエリア、構造が上昇しています。

●実際の保険料は保険会社ごとに異なる
参考純率の改定率は、各保険会社の火災保険の改定率とイコールではありません。各保険会社は、参考純率を目安として事業費などを加味して火災保険料を独自に決定します。参考純率の上げ幅の通りに値上げされるわけではない点は覚えておきましょう。

2.地震保険の基礎料率は全国平均で0.7%の引き下げ。長期契約の割引率は見直し
2021年6月10日、損害保険料算出機構は地震保険基準料率の変更を金融庁に届出をしました。これを受け各損害保険会社は、2022年10月1日以降の始期となる契約から保険料の改定を行います。

●改定の背景
背景にあるのは(1)保険料不足の解消、(2)各種基礎データの更新です。まず、(1)2017年1月から実施した3段階改定中の保険料不足の解消を目的として全国平均で1.6%引き上げられますが、(2)各種基礎データの更新(震源モデル、地盤データ、耐震性能など)を背景に全国平均で2.3%の引き下げとなります。その結果、0.7%の引き下げとなります。

●福島県、茨城県、埼玉県、徳島県、高知県は要注意
ただし、すべてのエリアが値下げとなるわけではありません。これまで基本料率の引き上げが制限されていた福島県、茨城県、埼玉県、徳島県、高知県については引き上げが行われます。特に大幅な引き上げとなる茨城県、埼玉県、徳島県、高知県のT構造とM構造については、引き上げ率に上限を設定し30%とする激変緩和措置が講じられます。

改定率の最大は茨城県、埼玉県、徳島県、高知県の+29.9%(T構造、M構造)、最小は大分県の▲47.2%です。

●保険料は各社共通
火災保険と違い、地震保険は各社共通の仕組みのため、保障内容も保険料も一律です。また、長期契約の割引計算に用いる予定利率が近年の金利状況を踏まえて見直され、5年契約の割引率が7.0%から6.0%に変更されます。5年長期契約の係数は、現行の4.65から4.70になり実質的な値上げとなります。こちらも各社共通です。

火災保険の長期的なリスクが不透明なため長期契約が最長5年に見直された点や、地震保険の保険料不足が解消し切れていない点を考慮すると、今後も保険料の値上げが続いても不思議ではない状況です。10月以降に大幅に保険料が上昇してしまう世帯は、影響を受けない共済制度も検討してみる価値は大きいでしょう。

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