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一般NISA vs つみたてNISA、どっちが有利か計算してみた


NISA(少額投資非課税制度)が始まったのが2014年1月。あれから8年半が経過しました。少しずつではありますが、利用者は着実に増加してきているようです。

一定金額までの投資で得られる配当金・分配金、売却益が一定期間非課税になるNISAは、投資をする誰もが利用すべき制度だと思います。非常に有利だからこそ、1人1口座しか作れないという制限もかけられています。

2021年12月末時点のNISAの口座開設数は以下のとおり。

一般NISA           1248万4106口座
(うち投資利用枠設定口座数)   1047万0986口座
つみたてNISA          518万1403口座
ジュニアNISA           72万0795口座

口座開設数の合計は、約1839万口座ですが、実際に投資利用枠が設定されている口座数のみカウントすると、合計で約1637万口座となります。

全体的に増えてきてはいますが、日本の人口(2021年12月末推計1億2538万人)から計算すると、まだ7、8人に1人しか利用していません。とはいえ、逆の言い方をすれば、日本の国民の7、8人に1人はNISAを通じて上場株式等への投資を行っているわけですから、昔に比べれば投資家のすそ野は広がってきているとも言えるでしょう。

そんなNISAですが、20歳以上(2023年からは18歳以上)の人が利用できる「一般NISA」と「つみたてNISA」は、どちらか一方のみ利用できる制度になっています。同じ年に両方は利用できません(ただし、1年ごとに変更することは可能)。

では、どちらを利用するのが有利なのでしょうか。
今回、一定の前提条件のもとに「一般NISA vs つみたてNISA」を試算してみました。

■試算条件
・ 一般NISA、つみたてNISAともに、毎月の積立額が、3万円、6万円、9万円という3つのケースで試算。
・ 一般NISAは、2022年と2023年は現行制度、2024年から2028年までは新NISAを利用し、2029年から2042年まではつみたてNISAを利用、2043年以降は課税口座を利用するものとしました。
・ 一方、つみたてNISAのほうは、2022年から2042年までつみたてNISAを利用し、2043年以降は課税口座を利用するものとしました。
・ なお、つみたてNISAの非課税枠(年間40万円)だと、毎月の積立額の上限が3万3333円なので、積立額が6万円と9万円の場合は、3万3333円を超える部分は課税口座で積み立てるものとして計算しました。
・ 運用利回りは年5%(1年複利)とし、NISAの非課税期間終了後は課税口座に移し、一定期間後の受取額は税引後の金額を計算しました。

(1)毎月積立額3万円の場合
【10年間】
積立元本          3,600,000 円
課税口座          4,438,741 円
一般NISA+つみたてNISA   4,579,324 円
つみたてNISA       4,652,569 円

【20年間】
積立元本          7,200,000 円
課税口座         11,224,892 円
一般NISA+つみたてNISA  11,724,764 円
つみたてNISA       12,231,114 円

【30年間】
積立元本          10,800,000 円
課税口座          21,820,612 円
一般NISA+つみたてNISA   23,129,383 円
つみたてNISA       23,808,528 円

【40年間】
積立元本          14,400,000 円
課税口座          38,627,122 円
一般NISA+つみたてNISA   40,361,800 円
つみたてNISA       41,040,946 円

(2)毎月積立額6万円の場合
【10年間】
積立元本           7,200,000 円
課税口座           8,877,481 円
一般NISA+つみたてNISA    9,143,096 円
つみたてNISA         9,115,066 円

【20年間】
積立元本          14,400,000 円
課税口座          22,449,782 円
一般NISA+つみたてNISA   23,116,714 円
つみたてNISA       23,567,797 円

【30年間】
積立元本          21,600,000 円
課税口座          43,641,224 円
一般NISA+つみたてNISA   45,206,924 円
つみたてNISA       45,849,999 円

【40年間】
積立元本          28,800,000 円
課税口座          77,254,241 円
一般NISA+つみたてNISA   79,293,166 円
つみたてNISA       79,936,241 円

(3)毎月積立額9万円の場合
【10年間】
積立元本          10,800,000 円
課税口座          13,316,220 円
一般NISA+つみたてNISA   13,704,926 円
つみたてNISA       13,553,806 円

【20年間】
積立元本          21,600,000 円
課税口座          33,674,673 円
一般NISA+つみたてNISA  34,467,068 円
つみたてNISA       34,792,688 円

【30年間】
積立元本          32,400,000 円
課税口座          65,461,836 円
一般NISA+つみたてNISA  67,152,999 円
つみたてNISA       67,670,609 円

【40年間】
積立元本          43,200,000 円
課税口座         115,881,361 円
一般NISA+つみたてNISA 118,045,750 円
つみたてNISA       118,563,361 円

これらの結果からわかることは、つみたてNISAの非課税枠の範囲内である毎月3万円の積み立ての場合は、10~40年すべての期間において、つみたてNISAが有利だということです。

そして、毎月6万円、9万円の積み立ての場合は、10年だと「一般NISA+つみたてNISA」が有利で、20年以上だと、つみたてNISAが有利だとわかりました。

つまり、長期で積立運用するのであれば、たとえつみたてNISAの非課税枠を超える金額の積立をする場合でも、つみたてNISAを優先すべきだということです。やはり、20年という非課税期間の長さが、このような結果を生んでいるのではないかと思われます。

選択のポイントを整理すると、
・10年以上積み立てるつもりなら、つみたてNISA
・積立額が少なめなら、つみたてNISA
ということでしょう。

ただし、当然ながら、つみたてNISAは、金融庁の定めた一定の基準をクリアした株式投資信託やETFしか利用できません。したがって、株式の個別銘柄や、つみたてNISA対象ファンド以外の投資信託をNISAで買いたい場合は、一般NISAで買うことになります。

なお、今後の税制改正によって一般NISAの利用期限が延長されたり、つみたてNISAの非課税枠が拡大されたりすると、今回の試算結果とはずれてくる可能性がありますので、ご注意ください。

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