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ジュニアNISAの活用(2023年廃止に伴う利用価値)


「10年間で最大800万円もの非課税枠を利用できる」と制度化されたジュニアNISAが2023年12月末をもって廃止が決定されています。しかしながら廃止を伴う制度改正により、利用者にはかえって利用価値が生まれる結果となっています。

■ジュニアNISAとは
未成年の子や孫のための「少額投資非課税制度」です。ジュニアNISA口座で投資すると、毎年80万円まで、最長5年間、そこで得た利益や配当金・分配金にかかる税金が0%(非課税)になります。

口座開設手続きや運用管理は、親や祖父母等が行いますが、口座の名義人は親や祖父母ではなく、あくまでも未成年者である子や孫自身です。子や孫の将来に向けた教育資金等を目的とした資産形成をサポートできる側面があります。

■廃止の背景
なんといっても制度自体の使い勝手の悪さでしょう。(1)「3月31日時点で18歳である年の前年の12月31日」までの払い出し制限があります。簡単にいうと、大学受験を控える高校3年生の1月になるまでは口座からお金を引き出せません。また仮に(2)ジュニアNISA口座自体を廃止して、途中で払い出した場合には、過去に非課税で支払われた配当金や売却益に対し遡って課税されます (※1)。
中学生、高校生で進学、塾などでお金がかかる場合もあるでしょうし、大学進学でも推薦合格であれば事前に入学金等の支払いが必要な場合もあるでしょう。すなわち事前に軍資金が必要な家庭にとっては利益確定できない制度であるため、結果として利用者が増えなかったと推察されます。

■廃止に伴う新制度
ジュニアNISA廃止にともなって、最大のデメリットだった払い出し制限が撤廃されます。すなわち2024年以降は(1)子や孫が18歳になるまで非課税で運用でき、かつ(2)途中解約しても遡って課税されなくなります。

掘り下げると、2023年の制度終了時点で20歳になっていない場合は、2024年以降の各年において非課税期間(5年間)の終了した金融商品を「継続管理勘定」に移管できます。継続管理勘定では20歳になるまで(※2) 、金融商品を非課税で保有し続けられます。また移管可能な金額に上限はなく、仮に時価が80万円を超えている場合も、そのすべてを継続管理勘定に移せます。なお、継続管理勘定では売却は可能ですが、新規の買付はできません。

一方、ジュニアNISA制度期間内に20歳になる場合は、20歳である年の1月1日に自動的にNISA口座が開設されます。この際、子や孫である本人が一般NISAまたはつみたてNISAのいずれか一方を選択します。一般NISAを選択した場合は、ジュニアNISAの口座(非課税口座)内の金融商品をNISA口座に移せます。

■活用を検討されたい方の条件
(1)小さな子や孫がいて、(2)10~15年の中・長期投資が前提で、(3)投資余力があること。つまり子や孫の将来的な教育資金の準備が目的の方です。条件に合うならば、絶好の機会となりえるでしょう。投資対象は、過去10~15年の運用成績を参考にすると、外国株式を投資対象としたインデックスファンドが候補として挙げられます。

2022年中にジュニアNISA口座を開設して投資をすれば、2023年の廃止までの2年間で最大160万円(年間80万円×2年)の非課税枠を利用でき、2023年中になると1年分の80万円のみとなります。早めに行動するが吉。投資の世界に絶対はありませんが、投資経験者はもちろん、投資初心者の方こそ資産運用を学んでみるよい機会と言えそうです。
 
 (※1)災害等止むを得ない場合を除く
 (※2)1月1日時点で20歳である年の前年12月31日まで

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